年金対策、繰下げ請求で老後を更に豊かにするために

年金の繰下げ請求とは

2013年現在、年金は65歳より受給されますが、この受給を遅らせる請求を行う制度のことを繰下げ請求制度といいます。

 

日本は高齢者社会となり、年金逼迫は大きな問題になっています。年金は、年金に加入した人たちが年金の給付を受ける人たちを支えるシステムですから、システムを支える人が少なくなり、給付を受ける人たちが多くなれば、システムを支える人たちに大きな負担がかかるようになります。また、国民年金といった国が運営する年金の場合、国庫からお金が支援されます。国庫からのお金とは税金のことです。日本の税収が下がっているところに年金の支援も増えるとなれば、国の負担も増えるばかりですから、社会問題となるのは当然でしょう。子供支援など、システムを支える子供の数を増やそうといろいろな施策が行われているのも、理解できるでしょう。

 

年金の繰下げ請求制度もそうした年金問題に対する施策のひとつでありますが、検討すべき点は、繰下げ請求制度を利用することによって、年金額の増額ができるという点です。例えば、請求時の年齢が66歳0ヶ月〜66年11ヶ月では8.4〜16.1%、67歳0ヶ月〜67歳11ヶ月では、16.8〜24.5%、68歳0ヶ月〜68歳11ヶ月では25.2〜32.9%、69歳0ヶ月〜69歳11ヶ月では33.6〜41.3%、70歳0ヶ月以上は42.0%という増額率になっています。

繰下げ請求を行うには

65歳から受け取ることができる年金を66歳以降に繰り下げて受け取る場合は、「老齢基礎年金・老齢厚生年金支給繰上げ請求書」を、最寄りの年金事務所や年金センターに提出します。

 

この年金の繰下げ請求ですが、増額率の話だけを聞くと、生活に余裕がある場合は、1年でも2年でも繰り下げて年金の給付を受けたほうがお得のように思われますが、利用にあたってはいくつか注意しなければならない点があります。

 

ひとつが65歳から66歳までに遺族年金や障害基礎年金、厚生年金保険や共済組合など、他の年金を受け取ることができるケースの場合は、繰り下げ請求を行うことができないということです。年金には公的な年金のほかに企業年金や個人の責任において加入する私的年金があります。複数の年金に加入している場合は、確認が必要ということです。また、66歳になったとき、他の年金を受け取る権利ができた場合、増加率はそこで固定されます。

 

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年金の繰下げ請求のメリットとデメリット

年金の給付額を大きくできるのであればできるだけ大きくしたいものですが、配偶者加給年金、子の加給年金といった加算額については繰下げ請求を行っても増額になりません。また、繰り下げ請求は年齢が高くなると増額率を増えていきますが、それは70歳までということです。70歳を過ぎた繰り下げ請求については、増額率は42.0%と決められており、それ以上は大きくなりません。請求月以前の年金についてもさかのぼって支払われないため、繰下げ請求は70歳到達月までに請求する必要があります。

 

繰り下げ請求は、請求を行うと、支給が開始されたときからなくなるまで増額された年金を受け取ることができます。しかし繰り下げ請求制度はメリットばかりではありません。デメリットもあります。そのひとつが死亡のリスクでしょう。繰り下げ請求を行ったものの、急な病気や事故などによって亡くなってしまう確率はゼロではありません。繰り下げ請求を行ったものの、給付を受ける前に亡くなってしまう人もいるでしょう。また65歳で受け取ることができる年金を67歳で受け取るように繰り下げ請求を行って68歳で亡くなってしまった場合、65歳で給付を受けた人の方が年金を多く受け取ることになります。いつまでも元気でいることができればいいのですが、人の寿命はわかりません。このデメリットはあまり考えられませんが、そのようなデメリットがあるということは知っておいた方がいいでしょう。

 

もうひとつのデメリットが国の年金制度に不安があることです。そのため私的年金の利用者も増えてきており、メリットが大きい繰り下げ請求ですが慎重に考える必要があります。

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