将来年金を受け取る為にも知っておきたい、年金対策、マクロスライド、その実態とは

年金のマクロスライドのその仕組とは

年金というのは、年金を支払う人がいて年金の給付を受ける人がいるシステムになっています。この年金を支払う人のことを被保険者といい、被保険者には自分で加入して自分で保険料を支払う第1被保険者、勤めている会社が加入をして給料から天引きされる第2被保険者、そして被保険者の扶養となっている第3被保険者の3種類があります。このうち第1被保険者の保険料は定額になっており、平成24年度は月額14,980円といったように、その金額は国によって金額が決められています。

 

しかし、物価や給与の変動など被保険者の状況は変動しています。特に年金のシステムを支える被保険者と保険者の比率の問題などは大きな社会問題となっています。年金の保険料を支払う被保険者が、年金が給付される保険者の数より多ければ、被保険者は1人につき0.5人や0.7人といった1人以下のお年寄りを支えればいいため、負担は小さくなります。しかし、高年齢社会になり被保険者と保険者の数は逆転しつつあり、被保険者の負担は増えてきています。それだけではなく、国民年金は国庫からの支援がありますから、保険者の数が増大していけば、より大きな支援が必要になります。国庫からの支援とは税金ですから、税収が下がっている現在の日本の状況で年金への支援が増えることは大きな問題です。

 

そうした状況に合わせて年金を受ける期間を伸ばすなど、時代の状況を年金にも反映させる仕組みがあります。それがマクロスライドです。マクロスライドでは物価の変動率だけでなく、年金加入者の増減も反映させるようになっています。

 

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年金のマクロスライドの導入、そしてその現状

マクロスライドは2004年の年金改正で導入されました。少子高齢化が進んでいる現在の状況では例え給与が上がったとしても、同時に保険料の支払い額も増えていきます。しかし保険料が高くなっても、被保険者数が減少しているため、保険料の合計は給与の上昇率よりも低くなってしまいます。そこでマクロスライドでは、年金の上昇を抑えることによって給与水準を引き下げて、年金の給付と負担のバランスを取っていこうというのです。簡単にいってしまうと、給付する保険料を減らすことによって、被保険者の負担を軽くしてバランスをとっていこうというのがマクロスライドです。

 

マクロスライドでは、被保険者の減少率と平均余命の伸びから求められたスライド調整率という比率によって年金額を改定していきます。

今後の年金マクロスライドに関して

マクロスライドでは、これから年金を受け取る人達は、すでに年金を受け取っている昭和16年生までの人達に比べて給付水準が下がっていきます。平成19年4月に社会保障審議会年金部会から示された夫婦2人の基礎年金によると、昭和16年度に生まれた夫婦の年金額(月額)は22.7万円で、給付水準は59,7%ですが、昭和21年度に生まれた夫婦の場合、年金額は23.5万円、給付水準は58.1%になります。昭和51年度に生まれた夫婦の場合、年金額は37.3万円で給付水準は51.6%です。しかしこれはあくまで見通しであり、デフレ状況になったり出生率が下がったりした場合、給付水準などの数値は変わっていきます。

 

ただし、このマクロスライドは平成19年度では特別措置によって改訂前の年金が支給されており、実際には実施されていない状況です。このマクロスライドによる年金額が適用されるのは、改正後の年金額の水準が改正前の水準を超えたときになります。

 

マクロスライドは年金財政が100年間に渡って財政の均衡を保つことができないと見込まれたときに適用されるもので、マクロスライドが適用される期間を調整期間といいます。5年ごとに負担と給付のバランスを財政検証することになっているため、バランスを保つことができる見込みになった時点で調整期間は終了されます。

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